人事部長 26. 障がい者と手を取り ⑻ 隠れた才能

この障がい者の社員の清掃・点検が転機となり、全部門での機械の始業前点検、終業後の清掃が徹底されるようになりました。

最後に部材を接着する作業がしたいと望んだ障がい者の社員のもとへ行きました。この女性の障がい者の社員は、5人の障がい者の社員の中で、障がいの程度が重く、多くの課題を抱えていました。このことから簡単な油圧機を使って行う部材の圧縮作業を望んだのだと思います。

この女性の障がい者の社員の安全を確保するために、鏡とブザーが設置されてていました。この鏡は隣で作業する社員から見えるようになっており、何かあればブザーと共に直ぐに対応できる体制が整っていました。これは幹部社員が中心になって考えた「障がい者社員の安全確保するためのアイデア」でした。このような安全装置は各所に設置されていました。これにも又驚きました。

工場を一巡し、事務所に入りますと社長から声をかけられました。「まさかこんな日が来るとは夢にもみませんでした。本当に有難うございます。」涙ながらにお礼を言われたのです。今までのご苦労を察し、私も涙が出て来ました。

企画部長からは「障がい者がこんな素晴らしい技量や才能を持っていたとは本当に驚きです。長い間、障がい者の面倒を見て来ましたが、根本的に見る目を変えなければならないと気づきました。これも先生と出会えたお陰です。」とお礼を言われました。

誰も気づかなかった障がい者社員が持つ隠れた技量が、活性化研修を通して発掘されたのです。

               続く

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