人事部長 22. 障がい者と手を取り ⑷ ファイル

活性化研修に入り一ヶ月が過ぎました。この頃は、函館・仙台・大分など講演先で活性化研修の依頼があったことから、お客様の所に一週間滞在して活性化研修を行う、集中研修方式を取り入れていました。

朝は8時から夕方7時頃まで、毎日出社し、土曜日には朝9時から夕方5時まで、全社員研修を行いました。そして平日の夕方6時から9時までは、一回幹部社員研修を行いました。

全社員研修の最初には、研修報告書などを管理するための「夢を叶える宝物」と表に書き、裏には「人生稲の如し 実りの秋を信じて歩む」と私の座右の銘を書いたファイルを配付しました。

このファイルを一番喜んだのが、障がい者の社員の方々でした。障がい者向けの書類には、全て企画部長が漢字にふりがなを付けて配付されました。その中の「気づきの窓」が特に好評で、障がい者の社員のご両親からも、お礼のお手紙をいただきました。

このファイルは思わぬ効果を上げました。それは障がい者の社員ととっては、人生で初めて貰った宝物だったのです。

毎朝、このファイルを抱えて両親の車から「行って来ます!」と大きな声でニコニコしながら、出社される姿は夢のような出来事でした。

ご両親も車から降りて「今日も宜しくお願いします。」と挨拶され、深々と頭を下げて出かけられました。誰も迎えに行かなくても、ニコニコしながら「おはようございます。」と言って、工場の中に入って行くのです。

障がい者の社員の顔は笑顔溢れ、活性化の当初とは全く違い、眼はキラキラと輝いていました。

                続く

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