「がん患者取り違え摘出」の記事を読んで

『昨日(3月5日)の日本経済新聞夕刊に「がん患者取り違え摘出、東北大病院、2年半放置」という記事が載っていました。その内容は次の通りです。「東北大病院(仙台市)は5日までに、検査結果の取り違いから2007年12月に前立腺がんではない宮城県内の70代男性から前立腺を手術で全摘出する医療ミスがあったと発表した。がんが見っかっていた別の同県の50代男性は2年半放置され、ミス発覚後に全摘出手術を受けた。……。東北大病院によると、男性2人は07年6月28日、前立腺がんの疑いがあるとして組織を検査。50代男性はがんと判明し、70代男性はがんではないと確認されたが、病理部医師が検査結果を記す報告書に取り違えて記入。……。」とあります。

私は総合病院の活性化に取組んでいる医療コンサルタントの一人として、どうしても腑に落ちないことがあります。その一つは「医師の記入違いに誰も気が付かなかったのか?」です。医師が患者さんを診断する時は、必ず看護師が付きます。電子カルテであれば、医師がどのように記録したか一目瞭然です。看護師がなぜその間違いに気付かなかったのか?」です。まず「医療はチームワークで決まる」という大原則が守られていなかったと考えます。二つ目には「医療管理システムの不備」が考えられます。


この医療管理システムの完成度が、医療事故を防ぐ最大の力です。私が活性化に取組んでいる総合病院では、活性化研修の中で、全職員が参加しシステムを構築しました。例えば透析注射をする場合は「透析注射薬管理システム」を構築し、その管理システムでは、業務プロセスとそのプロセスごとの責任が明確なっています。又大きな医療事故に繋がるプロセスには、黒丸●が付いています。そして危険度に応じ「一番危険度の高いシステムは赤色・次が黄色・白色の紙(画面)」で管理されています。

今医療業界の経営は厳しく、特に国立・県立病院など公立病院は、半数以上が赤字とのデータがあります。このような現状を解決するためには、時代が求める医療管理システムの構築が不可欠であると考えます。そして国民が、安心して診察を受けれる医療管理システムが出来ることを心から願っています。』