変化 5. 妊娠検査

この「意識改革」という難局も、通訳の尽力により、無事に乗り越え活性化を始めました。この活性化は予想通り、山あり谷ありで、疲れ果て倒れて病院に担ぎ込まれるという経験もしました。

中国という国は、憲法は有っても、その上に「一党独裁共産党」があり、全て、共産党指導部の意向一つで動いています。国民の意思は、政治には全く反映されていないと同じです。

この頃「一人っ子政策」が進められており、朝、会社に出社しますと、一部、生産ラインが動いていません。「どうしたのですか?」と工場長に尋ねてますと「今日は妊娠検査です。子供が一人いる従業員は全員妊娠検査で休みです」と言われました。「一人っ子政策」が行われていることは知っていましたが、仕事中に、それも全ての経費は、会社持ちで行われるとは驚いてしまいました。これも国の政策で反発することは不可能です。

人の命まで「妊娠検査」という形で、葬ってしまうことに背筋が寒くなりました。これだけ厳しく「一人っ子政策」が行われているのに、3人の子供がいる幹部従業員がいたのです。「何故?」と聞きますと「この方は共産党の幹部党員です」と言われました。当時、共産党員は8000万人と言われ、こんな所にも、特権が生かされていたのです。

この影響から人口の減少と男女のバランスが崩れ、社会問題となり「一人っ子政策」は廃止されました。しかしこのツケは大きく尾を引き、人口減少に歯止めはかからない様です。

                 続く

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