僕はマジェスタ ( 5 ) 警報機

僕には「盗難防止装置」が付いています。これが、時に大きな問題を引き起こします。その問題はご主人様の不注意が原因です。

ある冬の日、奥様を残してエンジンを切って出かけられました。僕は、奥様が寒いし、見えるのだから、エンジンはかけたままの方がいいと思ったのですが、その心配が当たってしまったのです。

それは奥様が、何かの拍子に窓を開けてしまわれたのです。すると「ビービー…」と警報機君が叫び始めました。奥様は真っ青なお顔になり、しどろもどろされています。

僕は警報機君に「止まりなさい!」叫びますが、警報機君は「危険信号を感知したから鳴っているだけです」と、知らぬ顔をして鳴り続けます。

この警報音に驚いて沢山の人が寄って来ました。奥様のお顔は、より青ざめて行きます。僕は奥様に「ご主人様に電話して下さい」と伝えますと、やっと電話をかけられました。

するとご主人様は慌てて飛んで見えました。「貴方!何をしているのよ!」と凄い剣幕です。「いやいやごめんごめん。トイレに入っていたのだよ」どうもご主人様は、大きい方の御用だったようです。

このようなことは時々発生しております。警報機君は「僕もたまに試験をしてもらえるから有難いよ」と済ました顔で言います。少し憎たらしくなります。

僕が悪い人に狙われ、盗まれそうになったら、警報機君と力を合わせ、しっかり守りたいと思います。

                  続く

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長良川サービスエリアで撮られました。