私は神棚 ( 3 ) 老人会

そんな苦虫を噛む岐阜の神棚さんに、マジスタさんが言いました。「今の事務所は天井が低くて、あれ以上大きな神棚さんは入らないの。ご主人様が言っていたよ。新しい事務所に移り、大きな神棚に替えたいと。もう少しの我慢だよ」「マジスタさん!新しい事務所に変わったら、私は捨てられるの?」と又悔し涙を流していました。どちらにしても犠牲者は出るようです。

「こんな暗い話はやめよう」と、話を変えたのは、しず子ベッドさんでした。「舞姫さんと私は、一番長くご厄介になっているから、ご主人様や奥様、そしてご主人様のお母様のことはよく知っているの」「そうよ!私も居間から、いつもお母様の話を聞いていたわ!お友達が何人も集まり、大きな声と笑い声が響いていたわ。正に三密の状態よ」「奥様は?」「奥様はね。居間を老人会に占領され、2階に上がって行かれたわ。お昼ご飯は老人会が居間で食べられるから、奥様は寒いリビングで、一人食べてみえたわ。少し気の毒だったわね。しず子ベッドさん」「しかしお母様は奥様に、一時の介護の世話をさせること無く、デーサービスに行って、お風呂に入り、お昼ご飯をいただき、少し休むと言って、看護師さんに抱かれて息を引き取られたの。享年92歳よ。老人会の仲間からは、私もシズさんの様にしまって行けたらいいなあ。と言ってみえたわ」

「御免なさい。なんか事務所の神棚さんの愚痴から話がずれてしまったわ」

                    続く

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