経験知 中編

この気づき窓は、意識改革の小さなエンジンとして捉えています。全員が参加する活性化研修は毎月2回1年に24回あり、この気づき窓も24回配付します。

不思議なもので回を重ねる毎に、社員は何事も前向きに取り組むようになり、自分の仕事を足元から見直すようになります。その一つが他者依存しなくなることです。この自分の仕事を足元から見直すとは、自分は今までどんな経験をしてきたのか? を考えることができるようになることです。それが仕組みづくりの中で、形として文章化されることで経験が「経験知 ( 形式知 ) 」になります。

その効果は生産性の向上に繋がり、企業活動の最大の目的である「利益体質強化」となります。「企業は人なり」と言われますが、「社員一人一人が持っている経験知をいかに文章化し活かすか」です。この「経験知」を文章化することで、社員は仕事に自信が付き、水面下に隠れていた氷山が浮き上がるように「経験知」を活かす体制が整ってきます。この体制こそ、企業活性化そのものです。

今一番残念に思うことは、団塊の世代が一線をひき、その「経験知」の多くが消え去ることです。戦後の復興期につくられた「経験知」は二度と得ることが出来ない、何にも勝る日本の宝です。そしてこの「経験知」を活かすか、活かさないかで日本の将来が大きく左右されると考えます。この団塊の世代の「経験知」の重要性をしっかり把握し、国がもっと積極的にその活用を図る仕組みをつくるべきと考えます。

では私自身どうか? この「経験知」を後輩に残すために、本として発刊して行きたいと計画しています。そして全ての「経験知」が社員に引き継がれて行くことを夢見ています。こんなことを言いますと、多くの方が「私は残すような経験知はない」と言われます。それは「経験知」とは何か?、「経験知」は自分の最大の無形の財産であるということを理解していないからです。60年、70年と生きて来れば、当然かけがえのない「経験知」が生まれています。ぜひその「経験知」を互いに活かす社会が生まれることを切に願っています。
次回は「経験知」とは何かです。

「経験は 体が覚え 知恵となる」