「裏を見せ、表を見せて散る紅葉」

『“裏を見せ、表を見せて散る紅葉”という良寛上人が今際の際に弟子と取り交わした句があります。この“裏”という字、私の名字「下裏」の一字で、名字としては大変珍しいそうです。20年ほど前、NTTの電話帳では全国に7軒と聞きました。それが正しいかどうかは分かりませんが、大変珍しい名字であることは間違いありません。私の家は分家ですが、本家は岐阜県飛騨市神岡町にあります。この本家の由来では江戸末期に「下裏」という名字を買ったとのことです。この名前に興味を持ち、少し調べてみますと奈良市に「字下裏」という所があり、そこに「下裏」という家が3軒ありました。その家にお伺いしお話を聴きましたが私どもとの関係ははっきりしませんでした。

姉が中学生の頃、先生からこんなことを言われたそうです。「下裏という名前は場所と症状まで表す大変珍しい名前です。」その意味は「下の裏で下痢との意味」だそうです。それを聞いて少し腹も立ちましたが、今思えば大変素晴らしい解説をしてくださったと感謝しております。最初の句は良寛上人の辞世の句ですが、私もこの句のように表も裏も見せながら人生を送れることを願っております。』