チヨン子

今は猫ブームでしょうか?テレビのコマーシャルにまで、猫が出てくるくらいですから凄いことです。
私の家では、犬を飼ったことはありませんが、猫は飼ったことがあります。
その猫を飼ったのは、私が小学4生の頃です。実は隣の家の猫が、私の家に居候してしまったのです。隣の家にお嫁に見えた方が、真っ白なペルシャ猫を連れて見え「チヨン子」という名前でした。そのチヨン子が毎日私の家に来て帰らないのです。
私は母から言われ、夕方になるとチヨン子を抱いて隣の家に連れて行きます。しかし私が帰るより先に、私の家に入り「ニャン!お帰り」と迎えてくれます。
何故チヨン子が、私の家がそんなに、気に入ったのでしようか?それはチヨン子に聞かなければ分かりませんが、本当に不思議です。
隣のお嫁さんから「もうチヨン子は、下裏さんが気に入ったようですので、どうぞ宜しくお願いします」頭を下げられました。その時チヨン子は嬉しそうでした。
それからチヨン子は、家族の一員になりました。特に母が大好きで、いつも付いて歩いていました。この頃、父の失明など生活はどん底の中にありましたが、このチヨン子のお陰で、どれだけ和らいだことでしようか。
このチヨン子は、大変長生きをし、母に看取られながら天寿を全うしました。今思えば一番苦しかった時、チヨン子が福を呼んでくれたのではないかと感謝しております。
人も猫も全て生あるものは、必ず死が訪れます。その死を迎える時、愛すべき人に付き添われ、天寿を全う出来れば、こんな幸せなことはありません。
その母は友達に誘われ、デイサービスに2回通い、その2回目にお風呂に入り、お昼ご飯をいただき、そして「少し休ませて下さい」と言い、介護士さんに抱かれて息を引き取りました。それまでは元気で、私の家は母のお友達が沢山集まり、ミニ老人ホームのようでした。
そんな母が苦しむことなく、天寿を全うしたことに皆んな驚きました。私はこの時、埼玉県に仕事に出かけており、母の最後を看取ることはで出来ませんでしたが、こんな素晴らしい最後を迎えられたことに感謝しております。
チヨン子は母に抱かれて幸せに過ごしているのでしょうか。そんなことを願いながら、テレビに映る愛らしい猫とチヨン子を重ね合わせて見ております。
     愛らしき    チヨン子の姿    目に浮かび

            テレビの猫に     笑顔返して