人事部長 11. 新入社員研修 ⑵ 思わぬことが!

この新入社員研修では、社会人として在るべき姿やどんな社会人になりたいのか?など、理想とする社会人について、3グループに分かれて、グループごとで話し合い、それを全員の前で発表をし、質疑応答も行いました。そして其々の思いを研修レポートに書き、提出していただきました。

そして皆に約束したことは、二日目の研修から全員で研修会場の準備をすることでした。丁度、この会場は、業界団体の持ち物であり、研修が終われば元の姿にして、返さなければなりませんでした。このことは社会人としての連帯感を学ぶ場として使えると思ったからです。

そして次の朝、会場に行きますと、研修開始30分前なのに全員がすでに来て、会場の準備をしていました。これには驚きました。

そして、もっと驚いたことは、先日入社式に学生服とズボンを短く改造した変形学生服の新入社員が、驚くことに普通の学生服の姿で参加したのです。

「どうしたの?」と尋ねますと「昨日は僕一人、余りにも社会人として恥ずかしい格好をしていたことに気付きました。それで、昨夜、お母さんにお願いし直してもらいました」、私が「それはよかったね」と答えました。「お母さんが喜んで涙を流し、お父さんはどんな研修受けたのか?と興味深々でした。」と返って来ました。

この時初めて、昨日、注意しなくてよかったと思いました。それは昨日注意すれば、お互いが傷つくことになり、この入社式という人生の出発式にも、大きな汚点を付けると思ったからです。

研修を見学にみえた人事部長と課長からは「先生!どんな指導をされたのですか?」と驚きの声が上がりました。

改めて、信じて待つことの大切さを思い知りました。

               続く

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