変化 56. 活性化事例「総合病院」 (13) 危機管理

医療機関に於ける「危機管理」、特に「医療ミス・医療事故・医療訴訟」を防ぐことは、最も重要な課題です。特に「医療訴訟」が発生すると、賠償金と共に、それに対応するための「時間と労力」が膨れ上がります。これも、賠償金と共に大きな損失を招いています。

又一般の企業に於けるリスクよりも、発生する可能性が高く、且つ、発生した時に、起こりうる影響が、人命や医療訴訟にまで発展するケースや病院のマイナス評価など、直接的・間接的に経営を圧迫する要素となりうるリスクが高いと言えます。

「危機管理」と言っても、色々なことが想定されます。それこそ、担当者レベルで判断してよい「軽微なリスク」から、人命に関わる「大きなリスク」まで様々です。

そのため、事例とした病院では、次のような「危機管理度分類表」を作成しました。

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この「危機管理の仕組み」が、しっかりと構築されていない病院では、どんな些細なミスも、病院長の判断が必要であったり、本来権限者でない者の判断で、対応が進んでしまったりして、非効率・不適切な対応になってしまうことがよくあります、

そして一番の問題は、危機管理の仕組みが出来ていないことにより、「病院長や看護部長など、上層部がやるべき本来の仕事が出来ないこと」です。これらの問題は、「危機管理の仕組み作り」の段階から対応すべき問題であると言えます。

この「危機管理」の第一歩は「可能性のあるリスクを想定すること」から、はじまります。特に「医療ミス」などは、一度起こしてしまえば、想定外では済まされないこともあります。手順を追って、そこにあるリスクの事前回避と、発生した場合に考えられる対策に応じて、どの職責の判断が必要か、重み付けが必要です。

この事例とした病院では、次の3段階を設定しました。

① 「重度」院内で処理不可能で、社会的責任を問わ

  れる事柄・赤色

② 「中度」概ね院内で処理可能であるが、重度に発

  展する可能性のある事柄・黄色

③ 「軽度」院内で処理可能であり、社会的責任を問

  われない事柄・青色

更に「危機管理度」に応じて、信号機の「赤・黄・青」に分け、危険度が一目瞭然になるようにしました。

                  続く

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