人生の並木道 青年期編 ⑸

再建に取り掛かって、まず行ったことは、融資を受けていた先へ全額返済し、取引を集約し、一本化を図ったことです。これには大きな反響がありました。「年末まで持たない会社に、何故ひだしんは融資をするのか?何故下裏と言う若造の作った再建計画を信用するのか?」など非難と驚きの声が上がりました。無理もありません。融資額は1億円で、この金額は、当時の飛騨信用組合の営業利益に値する額でした。

何故危険を冒してまで取引を集約したのか?それは、父の教えで「やる限りは全責任を背負ってやれ!」と言われたからです。そして再建計画書に「取引を集約し、一本化しなければ、他行に振り回されて再建は不可能です。」と書きました。

もう後へ引くことはできません。仕事が終わると直ぐに再建の作業に入りましたが、時には朝陽が差していました。何故ここまで、再建魂に火が付いたのか?それは、親友を助けたいとの思い以上に、この会社は管工事を行い、地元ではなくてはならない大切な会社だったからです。

再建計画書に基づき親族会議を開催しました。その目的は、未払金など再建に必要な資金を手当することでした。この親族会議は大荒れをしましたが、何とか2000万円のお金が集まりました。そして土地や建物など不要資産の売却も行いました。

一番苦しんだことは、お客様の信用回復でした。この信用回復をどう図るのか?そのために「掃除」という驚きの方法を考え実行しました。その掃除とは朝7時から専務・常務と私で神岡支店の前を掃除することでした。通る人は「何故?専務と常務が掃除をしているの?」と驚いて見えました。私は専務と常務に「大きな声でおはようございます。と挨拶して下さい」とお願いしました。この効果は直ぐに現れました。「ひだしんが全面的に応援するなら、安心して工事が発注出来る」と噂が広がったのです。

この噂が噂を呼び、個人の小さな工事も受注出来るようになりました。まだまだ問題は山積みしております。続きは明日

       掃除とは     心清めて     客を呼び

            噂が噂      福を呼び込み