卒業 7. 借金地獄

直ぐに同業種の会社から再建の依頼がありました。この頃、前の会社の再建が成功したことで、有頂天になっていました。この再建依頼に、何の調査もせず、一つ返事で引き受けてしまいました。この自己過信から「借金地獄」のどん底に突き落とされました。

飛騨信用組合の専務理事のところに挨拶に行きますと思わぬことを言われました。「この会社の再建はやめとけ。出来ることと、出来ないことがある。この会社への融資は一切出来ない。理事長も心配してみえる」と厳しいことを言われました。

私は「射手座の申年」です。一度決めたら走りて出してしまい、暴れ馬の様にどうにもならなくなります。この専務理事の忠告を無視して社長に就任しました。

専務理事は、私が結婚する時、仲人をして下さいました。いつも心配して、父のところに電話して下さいました。その応えが「一度は失敗し、どん底はえずり回らなければ、コンサルにはなれません。今回は良き機会です」と言われたと後から専務理事から聞きました。

この会社の再建は大失敗に終わり、清算することとなりましたが、社長という経営責任が問われ、不足していた運転資金のために、借入して補填していた、数千万円が戻らなくなりました。この時全財産を無くし、担保には取られましたが、辛うじて自宅の土地と家だけが残り、この借金返済のために20数年の年月を要しました。この時36歳でした。

有難いことに、この失敗を心配して、飛騨信用組合の理事長や専務理事、地元大手の社長など沢山の方々が応援して下さいました。

「失敗は成功のもと」と言われますが、父の言葉の通り、この失敗がなければ、今日はないと感謝しております。

   失敗は 我が身の過信 捨て置きて

    家族の心 知るよしもなし

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石川県能登町の九十九湾遊歩道で撮りました。