「悔いはないかい?!その一言が人生を決する」

『「下裏君。飛騨信用組合を辞めても悔いはないかい?。」この一言が、私の人生を決定づけたと言っても過言ではありません。それは今から33年前の夏のことです。この頃私は、飛騨信用組合に勤務し管理職に就き、誰もがまさか私が退職を考えているとは想像していませんでした。しかし私は中学2年の時に描いた経営コンサルタントになる夢が頭をもたげ、少し仕事にヤル気を無くしていました。それを察して仲人をして下さった、当時常務だった谷井さんが声をかけて下さいました。

 谷井常務には、私が経営コンサルタントになりたいという夢を話していました。思い起こせばその日は、何となく重苦しい日でしたが、何かに駆られ、仕事が終わるとすぐに谷井常務に相談に行きました。もう谷井常務は私がどんな相談に来たのかを察してみえました。「コンサルタントになると決めたのかい?」が第一声でした。

 私は「はい。」と小さな声で答えました。「下裏君は、良きにつけ、悪きにつけ、こうだと決めると絶対変えないからなあ。」と言って苦笑されました。そして厳しい顔になり「飛騨信用組合を辞めても悔いはないかい?」の一言でした。「はい、悔いはありません。」その答えに「もう何年かで支店長になり、大いに活躍出来るのに残念!」と少し悔しそうなお顔でした。

 そして最後に「君は好きな道を行くのだからいいが、奥さんや両親に心配をかけないように。」と言われました。しかし経営コンサルタントになる、その道は大変なイバラの道で、家内や両親には大変な心配をかけました。今振り返れば全く未知の世界への挑戦に「悔いはない!」と言ってなぜ挑戦出来たのか?不思議でなりません。人生には大きな分かれ道があることを思い知りました。』