57. ファッションショー

この生産枚数をデータ化する内にミシンのトラブルが多いことに気づきました。このトラブルを生んでいたのは、国営企業から引き継いだ中国製のミシンでした。このミシンは油漏れが発生するなど酷いミシンでした。早速董事長・オーナーに相談し日本の中古ミシンを導入しました。この頃日本では縫製業が下火になり、JUKIなどの中古ミシンが多く市場に出ていました。このミシンを段階的に購入し半年後には全てのミシンが入れ替わりました。この日本製のミシンに変わったことと従業員の意識改革によって、不良率が大幅に下がり生産性も順調に向上していきました。

中国を行き来する飛行機の中でも「何か従業員を惹きつける方法がないか?」と考え続けました。そこで閃いたのが「ファッションショー」でした。そして活性化研修をはじめて2ヶ月後「ファッションショー」を計画しました。

何故「ファッションショーを計画したのか?」その理由は「毎日作っている物を一度も着たことがない」と知ったからです。これが品質向上に大きく影響すると気づきました。この「ファッションショー」は工場で生産している女性用スーツと共に和服の長襦袢も作っていましたので、日本から着物も準備し3人のモデルに着せました。はじめて観る日本の着物にどよめきも上がりました。

このモデルは従業員の中から募集しますと沢山の応募があり驚きました。その中から30人が選定されました。この選定には私どもは一切関与せず全て董事長にお任せしました。そして南通市のファッションモデルの先生にお願いし約1ヶ月間講習を行いました。3月22日南通市の1,500人が収容出来る映画館を貸切ファッションショーを行いました。館内は従業員の家族や市民で満杯になり、地元テレビ局も取材に来て放映もされました。その時読んだ歌です。

  ファッションショー  夢の世界の  幕が開き

                  輝く顔が         舞台溢れて