変化 36. 活性化事例「日中合弁会社」(15) 架け橋

活性化に入って半年を過ぎると、不良率も少しづつ下がり、従業員の意識も変わりましたが、一つ大きな悩みは、「納期遅れ」でした。この「納期遅れ」の要因が、ボタンやファスナーなどの部材が揃わないことでした。

その要因の一つは、発注者側の部材の管理ミスもあり、それが多発していました。この部材による納期遅れの責任が、全て工場に来ていることが大きな問題でした。これを防ぐには、工場とお客様とを「ネット」で結ぶ、ソフトを開発し、全ての情報が常に確認できる「顧客管理ソフト」をWindows95で作ろうと考えたのです。

そして、もう一つの課題は、多大の「通話料」でした。日本の駐在員の仕事は、お客様との納期などの情報収集とその対応ですが、それが全て電話で行われていました。このことから、月間何百万円という、今では考えられない多額の「通話料」が「垂れ流し」になっていたのです。この事態を何とか解消しようと考えたのが、Windows95による「生産管理ソフト」でした。

この「生産管理ソフト」は、一年後の8月に完成し、当時「中国のお客様とネットで結んだ、生産管理ソフトは初めて」と日本経済新聞など、多くのメディアに取り上げられ話題になりました。

今思えば、毎日停電が続き、インフラ状況も悪い中で、そして、まだ中国版Windows95の使用が始まったばかりの頃に、よくまぁ!「生産管理ソフト」を作ることに、董事長もオーナーも賛同してくれたものだと、感謝と共に、驚きで一杯です。

この「生産管理ソフト」は、次の時代へと繋ぐ、大きな「架け橋」になったと確信しております。

                  続く

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Windows95の「生産管理ソフト」を使って仕事をしています。

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高知県祖谷かずら橋で撮りました。