「懐かしい思い出」

『3月22日伯父さんが89歳で亡くなられ、まだ残雪が残る飛騨市神岡町へ御参りに行って来ました。飛騨の古くからの風習で、亡くなられたその夜は、親族が泊まりお線香と蝋燭の番をするのが習わしです。今回は、私もその当番をし、伯父さんの家に50年ぶりに泊まりました。この夜は伯父さんを偲んで、家を建てられた当時の話しに花が咲きました。

振り返ってみますと、その頃私は中学一年生でした。この当時は、持ち山から建築材を切り出して家を建てるのが一般的でした。その木出しは、親戚一同が手伝い、今では想像出来ないほど大変な普請でした。この木出しは、水分が一番少ない11月から1月かけて行われました。

50年前は今と違い2メートル以上の雪が積もり、その雪を利用し、そりを使用して建築材を運び出しました。私は父が眼を病んでいたことから、父の代理でその木出しの手伝いに行きました。しかし深い雪に足を捕られ、手伝いに行ったのに何も出来ず、今木出しをした山々を見ると、寒さに震えていた、当時のことが懐かしく思い出されます。故人を偲びながら子供の頃を語り合う、思い出深い一夜でした。』