変化 25. 活性化事例「日中合弁会社」 ⑸ 合掌

董事長・工場長など上層部の人達と、一緒に「昼食」を食べる様になったことで、事務所の中でも、よく話をする様になりました。このお陰で、「意識改革」という、言葉の「影」に怯えていたのが、少しずつ解放されて行きました。

しかし、不良率は下がらず、不良品の山は高くなるばかりです。これには、頭を抱えてしまいました。そんな中で、オーナーから「工場の活性化をすすめるには、総経理(社長)になっていただけませんか。」という話が来ました。「これに董事長も賛成されています。」とのことでした。悩みましたが、オーナーが総経理を退任され、私が「総経理」に就任しました。

皆んなで食堂で食事をする様になり、席に付けば日本でもしていた様に「いただきます。」と「合掌」しました。そして食事が終わり帰るときには、食事を担当者する老夫婦に「ご馳走様でした。」と「合掌」し、一礼して帰りました。

この「合掌」で、老夫婦の意識が変わったのです。私が行く前は、この食堂では、この老夫婦を、皆んなが見下していたのです。詳しいことは分かりませんが、中々難しいものがある様でした。

此処では、誰もが食事を作っていただくことに、「感謝」の気持ちはなく、逆に「まずい」などと、不平不満が出ていました。

この「合掌」という形で感謝の気持ちを現すと、それが老夫婦のヤル気に火を付けたのです。食事を作っても、「給料を貰っているのなら、作るのは当然でしょ!」という姿勢で誰も「有難うございます」という「感謝」の姿勢がなかったのです。

                 続く

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