病院の落とし穴 ( 3 ) 視点

2つ目の「医療業務管理システムの落とし穴」とは「仕事の流れの管理不備のこと」です。20数年前、高山市の久美愛厚生病院の事務長から職員研修の話しがありました。

その説明会で、一人の看護師長から「何故日本看護師協会の看護手順書が有るのに、研修までして、新しく手順書を作るのですか?」との意見が出ました。それに対し看護部長が「今ある看護手順書は、看護師協会から与えられたものです。この手順書では、今発生している色々な課題を、解決することは出来ません。何故なら、その病院ごとに規模や組織によって手順も変わって来るからです。本当に活かせる手順書を作るには、仕事の流れと、発生している問題点も把握しなければなりません。大変な作業になりますが、この手順書を作成すれば、必ず働き易い職場になります」と話され、全員の同意の下に、全職員研修で手順書(医療業務管理システム)の作成が始まりました。そして2年後にはISO9000 ( 品質マネジメントシステム ) の認証を岐阜県内の病院で初めて取得されました。

それから今日までの20数年間、医療ミスによる医療訴訟は発生しておりません。

この看護部長が言われたように、其々の病院にあった「医療業務管理システム」がなければならないのです。しかし残念ながら「医療業務管理システム」という「ソフト面」には、余り眼が向けられることはなく、医療機器などの「ハード面」に力が入れられているのが現実です。

このツケが今回のような恐ろしい「落とし穴」を生んでいると考えます。

                   終わり

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御岳です。