卒業 25. 不良品の山

この工場では女性用のスーツなどを作っていました。活性化に入り、工場内の調査をはじめると、不良品が山となった倉庫が見つかりました。その不良品を見ると、右手にLサイズ、左手にMサイズと、考えられない不良品が山積みになっていたのです。

それを発生させている最大の要因は「品質管理という意識が全くないこと」です。言葉を変えれば「与えられたことをするだけで、間違っていることに気づいても、自分の仕事が増えるだけと考え、決して間違いを指摘せず、そのまま流してしまうこと」です。

裁断で間違いが発生すれば、その間違いは全くチェックされることなく流れて行くのです。日本では考えられないことです。

この話をヒアリングで聞いて背筋が寒くなりました。この合弁会社は以前、国営企業で、従業員は「雨が降れば休み、品質などは全く気をせず、時間通り勤めればよい」という、度肝を抜かれるような意識で仕事をして居たのです。当然、生産・品質管理の仕組みは全く無く出来ていませんでした。

さあ!「意識改革」という言葉も禁句の中で、どう従業員の意識改革を進めればよいのか?悩みました。

ヒアリングを進める内に、従業員の一番の願望は「給料を上げて欲しい」ということでした。この「給料」という言葉に、真っ暗なトンネルの中で、一筋の光が見えて来ました。

それは「給料という待遇改善を全面に出し、従業員の意識改革を図ろう」と考えました。そのヒントを「中国人は金には物凄い執着心を持っている」と、通訳をお願いした女性から教えていただいていたからです。

残念ながら、この通訳をお願いした女性は、学校の関係で一回で終わり、次は地元の上海大学を卒業した女性を雇いました。

    国境は  心の絆  遮断して

     相手を思う 心引き裂き

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サンタさんも沢山の雪をかぶって重そうでした。