卒業 17. 副社長就任

歓迎会の次の朝は、7時に出社しましたが、まだ誰も来ていませんでしたので、工場の周りを点検して回りました。8時から社長も出席して朝礼を行い、私を紹介して下さいました。独立して初めての仕事でしたので、凄く緊張しました。そして本格的な活性化が始まりました。

宿泊先は近くの大湯温泉の旅館でした。この大湯温泉の露天風呂で「樽式活性化法」が閃いたのですから驚きです。専用の社用車が与えられ、その車で通勤し、休みの日は十和田湖男鹿半島などへ出掛けました。懐かしい思い出です。

この大湯温泉には、特別史跡になっている縄文時代の「大湯ストーンサークル」があり、この頃は、まだ発掘調査の真っ最中でした。よく観に行き、パワーもいただきました。昨年4月に行って来ましたが、史跡公園として綺麗に整備されていました。

活性化に取り組んで、一週間ほどすると、トラック一杯の不良品が届きました。すると顧客の担当者から「新しい副社長が就任されたと聞きましたので、不良品の現実を知っていただくために送りました。宜しくお願いします」という厳しい不良品の洗礼を受けたのです。

まさか!ここまで不良品が出ているとは、思いもしませんでした。その不良品は酷いものでした。この現実を見て一歩引く思いでした。

これを引き起こしていた最大の要因は「社長不在による従業員の気の緩み」でした。会長は見えましたが、高齢でたまに事務所に顔を出されるだけでした。

そしてしばらくすると社長から「先生に副社長をお願いしたいと思います」との電話が入りました。何と!歓迎会の席で副社長就任が決まっていたのです。「知らぬは亭主ばかりなり」で、何と副社長の部屋も用意されていたのです。

大変な大役を背をつての船出となりました。

   大役と 不良の山に 腰抜かし

     船出の祝い 大波襲い

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左側笠ヶ岳穂高連峰です。