人生の並木道 中年期 前期 前半 ⑷

そこで営業部長に「8月25日に振込をさせていただきます」と言いましたが、無言で席を立たれました。課長から「本当にそんな大金を用意出来るのですか?25日の振込は間違いないでか?」と何回か問われました。私は「この資金は以前勤務していた飛騨信用組合から借りることが出来ました。間違いなく25日に振込ます」と応えました。この話を聞くと課長の顔は、馬鹿にしていた顔から厳しい顔に変わりました。「解りました。私から営業部長や経理部長に話しておきます」とやっとで一つの山を越えました。
そして前日は名古屋市内のホテルに泊まり、朝9時に訪問しました。課長は「振込は間違いないですか?」とまだ疑心暗鬼の様です。「はい!今朝一で飛騨信用組合から振込む手配をして来ましたので、間違いありません」と応えました。
そこへ営業部長が「貸付金の件はどうなったね」と問われ「今朝一で飛騨信用組合から振込む手配をして来ました。まもなく振り込まれると思います」、すると営業部長の顔から血の気が引いて行きました。「この案件は、22日にグループ役員会で承認されました。買収は決定したのです」と顔は真っ青です。すると課長が「部長!6000万円の振込がありました」と飛んで来ました。部長の顔は引きつっていました。
私は「25日振込ますから、買収の話は中止して下さい。とお願いしました。何故役員会にかけられたのですか?」と詰め寄りますと、営業部長は下を向き一言も発せられません。
34歳の若造が大手メーカーを振り回し、事務所内は上へ下への大騒ぎです。営業部長の態度は一変し、応接室に通されました。そこで営業部長、経理部長、課長などと名刺交換をしていますと「本社から専務が見えました」と受付の女性が緊張した顔で伝えてました。

続きは又明日

   恐ろしき 金の力が  弱者から

    大蛇飲み込む 龍に変わりて